「時速7キロのウォーキング」が、健康効果を最も簡単に期待できる究極のエクササイズ
たまたま手に取ったのですが、なかなか面白かった本があったので紹介します。
スポーツシューズを作ってるアシックスは、「足の形」や「歩き方」に関する様々データを収集して、商品開発に生かすための研究所を持っているそうです。
この本は、アシックスの研究所の人がデータを元に提唱する「健康的な歩き方」の話です。
時速7キロのウォーキングが最強な理由
この本が提唱する、健康を維持するためのオススメのエクササイズは、「時速7キロのウォーキング」です。
なぜ時速7キロウォーキングが良いのかというと……
【理由1】 走るよりも足への負担が少ないから。
【理由2】 時速7キロの場合、実は走るよりも歩く方がエネルギー消費量が多いから。
【理由1】走るよりも歩く方が足への負担が少ないから。
「そりゃそうだろ!」って思いますが、本書をよくよく読んでみると、ランニングとウォーキングでは、案外バカにできないほどの「身体への負荷の差」があることがわかります。
アシックスの研究所の人は、走っている最中に地面から足の裏が受ける衝撃の大きさを測定しています。
・「ランニング」では、着地の瞬間に、体重の約2.8倍の力が片足に加わります。
・「ウォーキング」では、着地の瞬間に、体重の約1.3倍の力が片足に加わります。
これは足が接地する際の「片足支持(ランニング)」か「両足支持(ウォーキング)」の違いで、差が出るそうです。
体重70kgの人の場合、足への負担は100kgの差になってしまうということです。
これは、足が接地する1歩ごとの生まれる差なので、何分間も運動したら、足にかかる負担は本当にバカにできない差になるでしょう。
「5000歩のランニング」と「5000歩のウォーキング」では、片足250トンもの負担の差になるわけです。
【理由2】時速7キロの場合、実は走るよりも歩く方がエネルギー消費量が多いから。
ウォーキングとランニングでは、どちらの方がエネルギー消費量が多いと思いますか?
「ランニングの方が運動っぽいし、激しく動くぶんエネルギー消費量が大きい」って思いますよね? フツー。
実はそうではないらしいんです。
研究によれば、次のことがわかっているそうです。
・時速8キロの場合、歩いても走っても、エネルギー消費量はほぼ同じ。
・時速8キロより遅い場合、歩くより走る方がエネルギー消費量が多い。
・時速8キロより速い場合、走るより歩く方がエネルギー消費量が多い。
つまり、ジムのランニングマシンで、「時速8キロ以上」でジョギングしている人をよく見かけますが、実は同じ速度で歩いた方がエネルギーは消費できるんです!
ただし、競歩の訓練を受けていない人が時速7キロを超えると「片足支持」で走行する状態になってしまい、【理由1】で説明した通り、ケガのリスクが増えます。
つまり、エネルギー消費量をランニングに近づけ、走り出さないギリギリの速さである「時速7キロで歩く」ことが、最も健康に良い運動と言えるということらしいです。
「ジムとか行かずに、早歩きしてるのが最強」ってことなんですね。
「究極の歩き方」アシックス スポーツ工学研究所著。ランニングシューズとウォーキングシューズは、まったく別の設計になっているので、注意が必要なのに、ことウォーキングに関しては平気でランニングシューズを履く人が少なくないとのこと。人生100年時代、歩き方ひとつでも、意識改革が必要だ!
— Yutaka KATO (@yuch_nii) 2020年9月1日
アシックス スポーツ工学研究所著『究極の歩き方』(講談社現代新書、2019)読了。人は50歳を過ぎたら足の形が変わっていく。80歳になっても若い時のように歩くにはどうすればいいのか。蓄積された科学的データに基づく提案で説得力があった。今後のウォーキングの際に繰り返し参照する本となるだろう。
— 読み助 yomisuke (@yomisuke) 2020年9月4日