【2022年米国株】USNewsが選ぶ2022年の上昇銘柄
US Newsが「2022年に買うべき米国株ベスト10」という記事を発表していたので、翻訳して、解説したいと思います。
1 Alphabet Inc. (GOOG, GOOGL)
【どんな会社?】
Google(グーグル)です。
【US Newsが選んだ理由】
・アナリストの予想では、Googleの利益は、これから5年間にわたって、毎年24%上昇する。(ちなみにアップルは15%の予想)
・コアビジネスである広告は依然として強い。YouTubeの広告売上は、急増を続けていて、直近の四半期は43%増。
2 Medifast Inc. (MED)
【どんな会社?】
メディファストは、減量や体重管理を目的とした健康食品を販売している会社です。
【US Newsが選んだ理由】
・直近の第3四半期(2021年9月)は前年同期比売上52%増。
・PERが約15倍と過小評価されている。
・アナリストの予想では、メディファスとの利益は、これから5年間にわたって、毎年20%上昇する。
・負債がなく、配当は継続的に2.9%出している。企業の関係者が最近100万ドル分の株を買った。
3 ASML Holding NV(ASML)
【どんな会社?】
半導体を製造する際に必要な露光機(フォトリソグラフィシステム)の世界トップメーカーです。
ASMLの半導体露光機は、TSMC、インテル、サムスンなどすべての大手半導体メーカーで使用されています。
【US Newsが選んだ理由】
・半導体回路の微細化で欠かせない「極端紫外線(EUV)の露光機」を開発しているのは、世界でASMLだけ。
・市場を独占していて、参入障壁が非常に高い。
・2022年も半導体不足が続くと考えられ、需要が高い。
4 EOG Resources Inc. (EOG)
【どんな会社?】
EOGリソーシズは、アメリカとカナダで天然ガス・原油の探鉱、開発、生産、販売を行う会社です。シェールガス生産者としても最大です。
【US Newsが選んだ理由】
・2021年11月の米インフレ率(CPI総合指数前年比上昇率)は6.8%で、約40年間で最大のインフレ率。
・インフレ率が高いと石油などのコモディティが上昇する。
・1.8%の配当を継続的に出している。
5 Lowe's Cos. Inc. (LOW)
【どんな会社?】
ロウズ・カンパニーズは、世界第2位の大手ホームセンターです。
【US Newsが選んだ理由】
・パンデミックの影響で、住宅や生活スペースを改築、増築、改造する人が多い。
・2021年には60%の株価上昇。
・最大のライバルホーム・デポ(HD)のPERが28倍なのに対して、ロウズは23倍と割安。
6 Microsoft Corp. (MSFT)
【どんな会社?】
マイクロソフトです。ウィンドウズOSやOfficeなど、個人・法人向けのソフトウェアを販売しています。
【US Newsが選んだ理由】
・クラウドサービスのAzureは利益率が高く、急成長している。AmazonのAWSに次いで世界第2位のクラウドサービス。
・WindowsとOffice(およびOffice 365)の収益が、クラウドに投資できる大きなキャッシュフローを生み出している。
・LinkedIn(前四半期に42%増加)、Xbox、Microsoft Surface、Microsoft Dynamicsなどのセグメントも好調。
7 Upstart Holdings Inc. (UPST)
【どんな会社?】
2020年の12月にIPOした若い会社で、個人向け融資を行うシリコンバレーのフィンテック企業です。
貸し出しリスクの査定にAI(人工知能)を用いています。
7%から36%の金利で1000ドルから5万ドルの融資を行っています。
顧客は、クレジットカードの債務整理から結婚式向けの資金など、様々な目的で同社の融資サービスを利用しています。*1
【US Newsが選んだ理由】
・個人のローンからスタートした自動車ローン市場にも参入し、将来は住宅ローンのような大きな市場にも参入していく可能性がある。
・すでに利益を出していて、IPOしたばかりの若い企業には珍しい。
8 Visa Inc. (V)
【どんな会社?】
クレジットカード会社のビザです。
【US Newsが選んだ理由】
・競争上の優位性が高いため、株価は高く、通常エントリーポイントが少ない銘柄だが、2020年2月の高値以来株価は横ばい。
・直近の四半期である第4四半期の支払い量が、2019年のパンデミック前の水準から上昇している。
・四半期配当の引き上げを発表している。
9 Grupo Aeroportuario del Sureste SAB de CV (ASR)
【どんな会社?】
メキシコの空港運営会社です。
【US Newsが選んだ理由】
・サンファン、プエルトリコ、コロンビアのメデジン空港は、2021年11月に、すべての空港のトラフィックが2019年11月よりもすでに7.2%増加した。
・オミクロン株と将来のコロナウイルスの変異株は脅威をもたらす可能性がありますが、2021年のデルタ株では、株価はほとんど変化しなかった。
10 Meta Platforms Inc. (FB)
【どんな会社?】
Facebook、Instagram、Instagram、WhatsApp、Messengerなどのアプリの会社です。
【US Newsが選んだ理由】
・35.8億人が、Facebook、Instagram、WhatsApp、Messengerなどの同社のサービスの1つを毎月使用している。これは世界人口の約50%、または世界のインターネットユーザーの75%に相当する。
・来年にはメタバースに100億ドルを投資する予定。
(関連記事:メタバースとは?上昇期待の米国株もわかりやすく解説)
気になる企業はあったでしょうか。
ちなみに私の場合は、気になった銘柄については、チャートを見て、チャートの形が悪くなければ、少額ですぐに投資してしまいます。
ただし、下がったら即損切りして、上昇もしくは横ばいであれば、少しずつ買い増しするという方法をとっています。
ちなみに去年も同じようにUS Newsは、2021年に買うべき株ベスト10を発表していました。気になる方は、こちらの過去記事を見てみてください。
GDPとは? 米国株初心者のためにGDPの見方をわかりやすく解説
米国株投資をする上で、最も大事な経済指標の1つがGDPです。
とはいえ「GDPってそもそも何だ」「恥ずかしくて今さら人には聞けない」そんな人も多いと思います。
GDPについてわかりやすく解説したいと思います。
これらについて、書いてみたいと思います。
GDPとはそもそも何?
GDPは、「Gross(グロス)Domestic(ドメスティック)Product(プロダクト)」の頭文字をとったものです。
国内総生産のことで、一定期間内に、国内で生み出された財・サービスの総額を示します。
めちゃくちゃ噛み砕いていうと、国内で生み出された「付加価値(=もうけ)」をすべて合計した金額です。
「付加価値」=「人件費と利益の合計」です。
Tシャツを5000円で売っている店があるとします。
この店は、Tシャツを売るために3000円かけました。素材の代金や店舗の家賃などです。
もうけの2000円で、給料を払います。
つまり、この時の付加価値は、2000円です。(5000円ー3000円=2000円)
コップを1つ1000円で売っている店があるとします。
この店は、コップを1つ売るために900円かけました。コップの仕入れ代金や店舗代です。
もうけの100円で、人件費を払います。
つまり、この時の付加価値は100円です。(1000円ー900円=100円)
このように付加価値を計算し、アメリカ国内全ての付加価値を合計した額が、アメリカのGDPです。
国内総生産=国内総所得=国内総支出
付加価値は、「給料」や「株の配当」となって、人々の所得になります。
「給料」や「株の配当」で手に入れたお金で、人々は物を買います。(投資と貯蓄は一度無視します)
ですので、「GDP(国内総生産)」=「GDI(国内総所得)」=「GDE(国内総支出)」となります。
つまり、GDPを見ることは、その国の経済の規模を3方向(生産、所得、支出)から測ることになるので、景気の良し悪しを判断する上で、非常に大事な数字なのです。
GDP統計の発表時期
四半期ごと1月、4月、7月、10月(速報値)に発表されます。
GDP統計は、四半期(3ヵ月)ごとに公表されるため、速報性はありません。しかし、経済全体の流れを見るためには重要な指標です。
・速報値の発表:1月、4月、7月、10月
・改定値の発表:2月、5月、8月、11月
・確報値の発表:3月、6月、9月、12月
GDPの見方は?
「GDP(金額)」ではなく、「GDPの成長率(増減)」をチェックします。
アメリカ商務省 "Gross Domestic Product(GDP)から「四半期ごとのGDP成長率」をチェックすることができます。
例えば、
「2020年第2四半期の実質GDP成長率(速報値)は、前期比年率マイナス32.9%(2020年第1四半期はマイナス5.0%)」
という速報が出たとします。
するとどのように考えることができるでしょうか。
・第1四半期(1〜3月):−5.0%
・第2四半期(4〜6月):−32.9%
つまり、「第1四半期から第2四半期にかけて、アメリカ経済の後退が拡大した」という経済全体の動向を掴むことができますね。
反対に、成長率が増加していけば、経済が上向きになっているということが言えます。
次のようなチャートを見て、GDPの成長率の変化を追うと、アメリカ経済の大きな流れを掴むことができます。
これを見れば、コロナショックで2020年Q1とQ2に大きく経済が落ち込んで、2020年のQ3以降、急速に回復していったことがわかりますね。
さらに、2021年Q3に経済成長が減速したこともわかります。(要因はデルタ株拡大と考えられています)
経済全体の流れを掴む上で、GDP成長率は必ず見ておくべきだと思います。
【2022年最新版】おすすめ投資系YouTuberトップ5
自分がよくチェックしている投資系YouTuberを紹介します。
楽天証券トウシル
テーマ:日本株、米国株、為替、中国、コモディティ、資産運用など
楽天証券の投資情報メディア『トウシル』が提供するYouTubeチャンネルです。これは、私が一番おすすめする投資YouTubeチャンネルです。
投資の専門家たちが、毎日日替わりで、動画を配信しています。
元々銀行や証券会社で投資業務を行なっていた投資のプロたちによる解説動画ですので、他の投資系YouTuberよりも信頼がある情報を発信してくれます。
メンバーは、次の通りです。
・窪田真之(主に日本株を担当)
楽天証券経済研究所 チーフ・ストラテジスト
住友銀行、住銀バンカース投資顧問、大和住銀投信投資顧問を経て2014年より現職。日本株ファンドマネージャー歴25年、1000億円以上の大規模運用で好実績をあげたスペシャリスト。
トウシルのYouTuberの中でも、初心者の目線で非常にわかりやすい解説をしているのが窪田真之さんです。
・田中泰輔(主に為替と米国株市場を担当)
楽天証券経済研究所 客員研究員
グローバルマクロ・アドバイザー。1983年慶應義塾大学卒業後、日本長期信用銀行、モルガン・スタンレー証券、ドイツ証券ほか、日米欧のグローバル金融機関9社でトレーダー、ストラテジストなどを歴任。
窪田真之さん同様に、視聴者が見やすいスライドで、話をまとめながら解説してくれているので、理解しやすい動画です。
・山崎元(主に資産運用を担当)
楽天証券経済研究所 客員研究員
東京大学経済学部卒業。三菱商事→野村投信→住友生命→同信託→シュローダー投信→バーラ→メリルリンチ証券→パリバ証券→山一證券→DKA→明治生命→UFJ総研と12回の転職を経て2005年より現職。
・今中能夫(米国株の個別銘柄を担当)
楽天証券経済研究所 チーフアナリスト
岡三証券、シュローダー証券、コメルツ証券などを経て2005年より現職。1998〜2001年、日経アナリストランキングソフトウェア部門1位。2000年、同インターネット部門1位の実力派。
・吉田哲(コモディティを担当)
1977年生まれ。2000年、新卒で商品先物会社に入社。2007年よりネット専業の商品先物会社でコモディティアナリストとして情報配信を開始。2014年7月に楽天証券に入社。2015年2月より現職。
・加藤 嘉一(中国情勢を担当)
楽天証券経済研究所 客員研究員
北京大学大学国際関係学院大学院修士課程修了。米ニューヨークタイムズ中国語版コラムニスト、香港大学アジアグローバル研究所兼任准教授。
Takao Hirose (広瀬隆雄・じっちゃま)
テーマ:米国株
米国株、特に米国株の個別銘柄に投資するのが好きな人にはこちらのTakao Hirose - YouTubeチャンネルがおすすめ。
色々な業種の銘柄の話をするので、聞いているだけで、米国株の個別銘柄に詳しくなれます。
基本的には、ライブ配信と、ライブ配信のアーカイブが更新されているだけなので、しっかり見ようとすると結構大変。
そんな人は、「ばっちゃまの米国株」というチャンネルがおすすめです。
広瀬隆雄さんのライブ配信をコンパクトにまとめたチャンネルです。
このチャンネルのすごいところは、ライブ配信の切り抜きではなく、図解やチャートで、じっちゃまの発言をわかりやすく噛み砕いて解説してくれている点です。(動画作るのは大変だと思います)
ちなみに私は、ばっちゃまの米国株の方しか見ていないです。
ちなみにYouTubeで検索すると、じっちゃまの切り抜き動画はたくさん出てきます。
広瀬隆雄プロフィール
コンテクスチュアル・インベストメンツLLC マネージング・ディレクター
米国株のテーマ、銘柄分析の第一人者。米国をはじめとする世界の政治・経済に精通し、グローバル投資、新興国市場にも明るい。
1959年、広島県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。S.G.ウォーバーグ証券(現UBS証券)、ハンブレクト&クィスト証券(現J.P.モルガン証券)を経て現職。
高橋ダン Dan Takahashi
投資系YouTuberの中で最も人気がある人はこの人だと思います。
ウォール・ストリートのファンドに勤めていた経歴を持ちます。
チャートを見ながらテクニカル分析を行うスタイルで、動画を配信しています。
テクニカル分析でよく扱っているのが、MACD、RSI、ボリンジャーバンド、ピボットポイント、投機的ネットポジション、マーケットのニュースなどです。
毎日何本も動画を更新するほど、更新頻度が高くて、毎日ニュースも解説してくれるので、市場全体の流れを知る上で、役立つ情報を発信しているYouTuberだと思います。
1UP投資部屋
元々井村俊哉さんが運営していた「Zeppy投資ちゃんねる」で活動していたKenといとちゃんが2人で運営しているチャンネル。
日本株の個別銘柄についての情報が多いです。個別銘柄について詳しくなりたい人、色々な会社を知りたいという人におすすめです。
初心者に見やすい、視聴者に配慮した動画の構成になっているのが、このチャンネルの良いところです。
高校生でも分かる米国株
テーマ:米国株
三菱UFJ銀行(米国)とみずほ銀行(米国)でクレジットアナリストをしていた経歴を持つ花子さんが、おすすめの米国株について教えてくれます。
企業分析とファンダメンタルズの分析が中心で、投資スタイルは中長期のバイアンドホールドです。
時価総額が大きくて、業績が安定している米国株に対しては、「とにかく売らずに買い増せ」「長期で見れば上がるから、株価が下がってる時は買い時」という感じの姿勢です。
【米国株最新版】ゴールドマンサックスが予想「2022年成長株ベスト5」
ゴールドマンサックスが選ぶ「2022年に買うべき成長株ベスト5」という記事があったので、紹介します。
こちらの記事からです。
- Las Vegas Sands(LVS):ラスベガス・サンズ
- Boeing(BA):ボーイング
- Array Technologies(ARRY):アレイ・テクノロジーズ
- Take-Two Interactive(TTWO):テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア
- Spirit AeroSystems(SPR):スピリット・エアロシステムズ・ホールディングス
Las Vegas Sands(LVS):ラスベガス・サンズ
カジノなど、統合型リゾートの会社です。
アメリカ、マカオ、シンガポールでカジノリゾートを運営しています。
有名なのは、マリーナベイサンズ(シンガポール)、ベネチアンリゾート(ラスベガス)、ザ・パラッゾ(ラスベガス)などです。
2022年にラスベガス・サンズは91%の利益成長があると、ゴールドマンサックスは予想しています。
また、68ドルを目標株価としています。(2021年11月29日時点株価は37.26ドル)
Boeing(BA):ボーイング
誰もが知っている、航空機製造における世界のリーディングカンパニーです。旅客機も軍用機も製造しています。
ボーイングとエンブラエル(世界第3位の航空機メーカー)は、商用航空の新しい戦略的パートナーシップを構築するための拘束力のない覚書に署名しました。新しい合弁企業は47.5億ドルと評価されています。
アナリスト予想によれば、2022年は57%の売上増加が予想されています。ゴールドマンサックスは、305ドルを目標株価としています。(2021年11月29日時点株価は198.5ドル)
Array Technologies(ARRY):アレイ・テクノロジーズ
太陽光プロジェクトで使用される地上設置システムのメーカーです。
例えば、ソーラートラッカーの製造を行なっています。
太陽光発電を設置する際に出てくる名称の中で、「太陽光発電アレイ」と言う言葉があります。
これは、太陽光パネルを複数枚、直列や並列に結線し、架台などに設置したもののことをいいます。
太陽光の角度は刻々と変わります。最大効率で発電を行うためには、太陽の位置に合わせて、アレイの角度を調節する必要があります。
ソーラートラッカーは、太陽の位置に合わせて、自動的にアレイの角度を調節してくれるシステムです。
ゴールドマンサックスは、2022年にアレイ・テクノロジーズの52%の売上成長を予想しており、目標株価は27ドルです。(2021年11月29日時点株価は22.85ドル)
Take-Two Interactive(TTWO):テイクツー・インタラクティブ・ソフトウエア
ゲーム会社です。プレステ、Xbox、任天堂スイッチなどのゲームを開発しています。
主な子会社とゲームタイトルは下記の通りです。
・Rockstar Games(「グランドセフトオート」「マックスペイン」シリーズの会社)
・2K Games(「マフィア」「BioShock」「NBA 2K」シリーズなどの会社)
アナリスト予想では、39%の売上成長が見込まれており、ゴールドマンサックスは目標株価を233ドルとしています。(2021年11月29日時点株価は169.6ドル)
Spirit AeroSystems(SPR):スピリット・エアロシステムズ・ホールディングス
商業用航空機の部品設計や製造を行う会社です。
主なプロダクトは、機体、飛行機の航路を示す目標塔、ナセル(エンジン室)、ウイングシステム・コンポーネントなどです。
また、購入後のカスタマーサポートや、部品交換、メンテナンスのサービスも行なっています。
2022年に37%の利益成長があると、ゴールドマンサックスは予想しています。またアナリストの予想では、63ドルを目標株価に設定されています。(2021年11月29日時点株価は38.7ドル)
【米国株投資】超重要な経済指標一覧
米国株は経済指標を材料に動くことが多いです。
経済指標とは、アメリカの政府や公的機関が、定期的に公表しているデータです。
世界中の投資家がチェックしていて、将来の景気を予測し、投資判断の基準にしているため、経済指標の発表後に株価が動くことも多いです。
そこで、とくに押さえておくべき経済指標をリスト化しました。
『今日から始める!米国株投資』(松本大・著)を主に参考にリスト化しました。
ちなみにこの本は、マネックス証券の創業者が、米国株投資のはじめ方をわかりやすくを解説した本です。
これから米国株投資を始める人が読んで損はないです。
- GDP成長率(GDP統計)
- 消費者物価指数
- 米国雇用統計
- 新規失業保険申請件数
- ISM指数 (Institute for Supply Management)
- シカゴ購買部協会指数
- フィラデルフィア連銀指数
- ニューヨーク連銀指数
- 鉱工業生産指数
- ミシガン大学消費者マインド指数
- 住宅着工件数
- 新築住宅販売高
- 中古住宅販売高
GDP成長率(GDP統計)
●発表時期:四半期ごと1月、4月、7月、10月(速報値)
GDPは国内総生産のこと。一定期間内に、アメリカ国内で生み出された財・サービスの総額を示します。
四半期(3ヵ月)ごとに公表されるため、速報性はありませんが、経済全体の流れを見るためには重要な指標です。
下記のタイミングで発表されます。
速報値が、1月、4月、7月、10月。
改定値が、2月、5月、8月、11月。
確報値が3月、6月、9月、12月。
「GDP(金額)」ではなく、「GDPの成長率(増減)」をチェックします。
アメリカ商務省 "Gross Domestic Product(GDP)から「四半期ごとのGDP成長率」をチェックすることができます。
GDPの数字の見方や考え方については、下記の記事にまとめました。
消費者物価指数
●発表時期:毎月15日前後
物価の動向を把握するための指標です。
インフレが生じ るとFRBの金融政策に影響を及ぼすため、注目されます。
消費者物価指数というのは、 まさに最終消費者がモノやサービスを購入する際の物価ですから、消費者物価指数が上昇したとすると、最終消費者レベルまで物価上昇圧力が高まっているということで、金融引締め政策をとる可能性が一段と高まります。
ただ、傾向を先取りするマーケットは、消費者物価指数が上昇に転じたかどうかの前に、GDPデフレーターなどを重視する傾向があるため、株価などにすぐ影響することはありません。
米国雇用統計
●発表時期:毎月第1金曜日
さまざまな経済統計のなかでも、最も注目度の高いもののひとつです。
米国では経済 活動全体に占める個人消費の割合が非常に高いため、個人消費の先行きに影響を及ぼす雇用統計が注目されるのは、当然です。
なかでも、「非農業部門雇用者数」と「失業率の数字に注目が集まります。
発表が出ると株価だけでなく、為替レートにも大きな影響を及ぼします。
基本的に非農業部門雇用者数の数字が上がる一方、 失業率が低下すると、これから先、雇用情勢は好転し、個人消費の意欲が高まると判断され、株価にとってはプラスの影響を及ぼすことが多くあります。
逆に、非農業部門雇 用者数が減少し、失業率が上昇すると、個人消費はこの先、落ち込むという見通しから、株価は下落しやすくなります。
新規失業保険申請件数
●発表時期:毎週木曜日
失業保険の申請を出した人の数を示す経済統計です。これも雇用統計と同じく、個人消費の動向をみるうえで役に立ちます。失業保険の申請件数が増えたということは、そ れだけ雇用情勢が悪化していることであり、個人消費を後退させる恐れが生じてきます。
当然、株価にとってはマイナス要因です。
毎週木曜日に発表されるため、速報性が高いという点もポイントのひとつです。
ちなみに、40万件が雇用創出の分岐点とみられており、この数字を超えると雇用情勢
は厳しく、下回ると雇用情勢は好転していると判断されます。
景気のピーク、ボトムに対して2~3か月程度の先行性があるといわれています。
ISM指数 (Institute for Supply Management)
●発表時期:毎月第1営業日
製造業約350社の購買担当役員に対して 行われるアンケート調査をベースにして作成されます。
生産、新規受注、入荷遅延比率、 在庫、雇用の各項目に関して、前月との比較で「よい」「変わらない」「悪い」の3択で 回答を得て、作成されます。
指数が「50」を割り込むと景気後退、超えると景気回復を示すといわれています。
景気転換の先行指数として、マーケットからの注目度も極めて高い経済指標です。
しかも、数字の発表が毎月第1営業日になるため、あらゆる経済指標のなかでも、最も早く発表される点も、注目度が高まる原因のひとつです。
シカゴ購買部協会指数
ISM指数と同様、製造業の景況感を把握するのに役立つ経済指標です。
シカゴに限定された指標ではありますが、直接インタビューを行って作成される経済指標になるため、重視されています。
基本的にこの数字が上昇すると、製造業の設備投資意欲が高まっていく傾向がみられます。
また、ISM指数の前日に公表されることから、ISM指数の先行指標という役割もあります。
基本的に、この数字が50を超えてくると、製造の景況感が好転する傾向がみられます。
フィラデルフィア連銀指数
●発表時期:毎月第3木曜日
製造業の景況感を把握するための経済指標のひとつです。
フィラデルフィア連銀が管轄する地区のみの統計ではありますが、全国区の景況感を示すISM指数との連関性が高いといわれています。
これと似たものにニューヨーク連銀指数がありますが、マーケットの注目度はフィラデルフィア連銀指数のほうが高い傾向があります。
ニューヨーク連銀指数
●発表時期:毎月15日
ニューヨーク地区の製造業の景況感を示しています。
とくに雇用や新規受注の数字が注目されます。
フィラデルフィア連銀指数のほうが歴史が長いため、 マーケットでの注目度はそちらのほうが高いのですが、フィラデルフィア連銀指数よりも早めに公表されるため、最近はマーケットでの注目が高まってきています。
製造業の景況感を把握するにあたっては、まずニューヨーク連銀指数でおおまかな方向性を判断し、その後に公表されるフィラデルフィア連銀指数でコンセンサスを形成。ISM指数で確認する流れになります。
鉱工業生産指数
●発表時期:毎月14日〜17日
製造部門の生産動向を指数化したものです。
景気全般との関係性が深いのが特徴です。
GDPが四半期発表であるのに対し、鉱工業生産指数は月次発表になるため、景気動向全般の先行指標として注目されます。
米国経済全体に占める製造業の比率は2割程度ですが、景気循環の始まりは製造業からになるため、景気の回復局面入り、あるいは後退局面入りする転換点を把握するのに役立ちます。
ただ、GDPと比べて振れ幅が大きくなる傾向があるため、ある程度の期間、ならして見るようにするのがポイントです。
ミシガン大学消費者マインド指数
●発表時期:毎月第2金曜日、もしくは第3金曜日
1966年を100として消費者マインドを指数化し、ミシガン大学が発表しているものです。毎月第2、もしくは第3金曜日に発表されます。
消費者信頼感指数とともに、消費者マインドを探るための代表的な指数です。
消費者信頼感指数よりも早く公表されるため、消費者マインドを早めに把握するための材料になります。
米国は個人消費がGDPの約7割を占めるため、消費者マインドの高低は景気動向全体に大きな影響を及ぼ すとともに、株価に与える影響も大きくなります。
住宅着工件数
●発表時期:毎月第3週
個人消費の動向を把握するうえで重要な指標です。
該当月に建築が着工された住宅の件数を示したもので、景気動向に対して敏感に反応するため、マーケットでの注目度も高くなります。
具体的には住宅建設が活発になると、家電や電化製品を新調するケースが多いため、それが個人消費を活性化させることに結びつきます。
ただ、天候の変化による影響も大きいため、全体のトレンドを把握するためには、3か月の移動平均で判断するのがよいとされています。
新築住宅販売高
●発表時期:毎月29日〜翌月4日
該当月に販売された新築住宅件数です。
景気動向に対して最も先行性の高いもののひとつといわれています。
住宅着工件数と同様、住宅購入の動向は、家具や家電製品など他の製品販売に及ぼす影響が大きいため、 個人消費を左右します。
中古住宅販売高
●発表時期:毎月25日前後
他の住宅関連統計と同様、中古住宅販売高も景気の先行指標として重要な統計のひと つです。
発表は毎月25日前後で、該当月に所有権の移転が完了した中古住宅の販売件数をカウントします。
新築住宅販売高は契約書にサインした時点でカウントされるのに対し、中古住宅販売高は所有権が移転した時点でカウントされるため、中古住宅販売高は新築住宅販売高に対して30~60日程度、遅行します。
参考資料:『今日から始める!米国株投資』(松本大・著)、東海東京証券Webサイト
【米国株の優良銘柄】インテュイティブ・サージカル
「ダ・ヴィンチ」で有名な外科手術支援ロボットシステムを開発・製造するインテュイティブ・サージカル(ISRG)を紹介します。
2020年は、パンデミックの影響で手術の延期が発生し、業績を落としていましたが、2021年は再び業績を拡大している注目のグローバル企業です。
インテュイティブ・サージカルは何をやっている会社?
「ダ・ヴィンチ」という名称の外科手術支援ロボットシステムが有名です。
ロボットを使うことで、正確で素早く、患者の体に負担の少ない外科手術を実現することができます。
日本でも、ダ・ヴィンチの導入は進んでいて、前立腺がんのほとんどの手術は、ロボットで行われています。
前立腺がん、腎臓がん、肺がん、直腸がん、食道がんなどは、ロボット手術に対して保険が適用されます。
ロボットで手術するというのが、当たり前の時代がやってきています。
その他、ダ・ヴィンチにつけるインストゥルメント(内視鏡、内視鏡開創器具・解剖用器具、はさみ、外科用メス、鉗子、持針器、電気焼灼器、 超音波カッター、その他の手術用具)を製造し、世界各地で事業を展開しています。
ダ・ヴィンチの保守運用サービスも行っています。
ダ・ヴィンチ手術システムの2021年上半期末時点での設置台数は、全世界で6,335台でした(大半が米国内に設置されています)。*1
インテュイティブ・サージカルの強みは?
圧倒的な先行者利益
手術支援ロボットの分野における競合他社は、ジョンソン・エンド・ジョンソンや、メドトロニックです。日本では川崎重工業です。
しかし、参入は遅れています。
すべての競合他社の外科手術支援ロボット設置台数を合計してもインテュイティブには及びません。
インテュイティブ・サージカルには、圧倒的な先行者利益があります。
手術システムの設置費用(50万~250万ドル)の高さ、外科医を対象とするトレーニング、過去20年間で築き上げた病院との信頼関係により、顧客を長期的かつ効果的に囲い込んでいます。
営業利益率の改善
また、営業利益率が時間の経過とともに改善する仕組みになっていることも強みです。
ダ・ヴィンチ手術システムを当初販売した時点では、その売上高が同社の収入の大部分を構成します。
ダ・ヴィンチは、製造コストが高くつく複雑なシステムであり、利益率はそれほど高くありません。
しかし、時間が経つにつれて、売上高の大半が「インストゥルメントの販売」と「システムの保守サービス」から生みだされるようになります。
インストゥルメントとは、手術のたびに交換しなければならない、メスやハサミ、鉗子のことです。
インストゥルメント販売や保守サービスの利益率は相対的に高く、同社の増益に貢献しています。
実質的には、サブスクリプションサービスのようなビジネスモデルになっています。
業績は?
パンデミックによる外科手術の延期で、2020年は業績を落としましたが、売上高、営業利益とも、これまでずっと右肩上がりに成長している企業です。
2020年は、売上高が43.58億ドル、営業利益は10.50億ドル。
ちなみに2014年は、売上高21.38億ドルで、2014年〜2019年まで毎年売上高を10%から20%伸ばしてきました。
四半期決算を見ると、2020年6月期(2Q)は、パンデミックの影響で業績を落としましたが、その後再び業績を伸ばしてきています。
インテュイティブ・サージカルの決算まとめ
2021年第3四半期(7月-9月期)
非常に良い決算でした。
https://isrg.intuitive.com/static-files/8b2cf45a-fd9d-4358-ad04-115fc9747b5e
売上高
◎売上高: 14.0 億ドル(前年同期比 30%増)
市場予想の 13.9 億ドルを上回りました。
◎手術ロボット「ダ・ヴィンチ」売上台数: 336 台(前年同期比 72%増、前年同期は 195 台)
EPS
◎EPS(1 株当たり利益):1.19 ドル
市場予想の1.17 ドルを上回りました。
ガイダンス
21 年度通期ベースガイダンス
・手術件数の成長予想:27%-29%(当初は 27%-30%予想だった)
・売上総利益率:71%-71.5%
・営業費用:17%-19%増加
【3分でわかる】アマゾンアグリゲーターとは?
ここ最近、アマゾン・アグリゲーター(Amazon aggregator)というビジネスが急激に伸びているですが、日本ではアグリゲーターに関する情報がなかったので、解説したいと思います。
アマゾン・アグリゲーターとは?
アマゾン・アグリゲーターとは、アマゾンのマーケットプレイスに出品しているセラー(ブランド、小売業者)を買収して、統合している会社のことです。
アマゾンに出品する小規模ブランドは、例え良い製品を持っていても、成長を遂げるうえで、生産・配送・価格などの最適化、広告展開など、さまざまな課題に直面します。
アグリゲーターは、こういったポテンシャルのある小規模なブランド(小規模の小売業者)を買収して、マーケティングや物流データのノウハウ、資金力を背景に、小規模ビジネスの拡大を実現させていきます。
そのブランドの製品の品質を向上させたり、ITのインフラを導入することで、収益を向上させます。中小小売業者が、単独では実現できなかった成長の機会を提供するのです。
CNBCがアグリゲーターを特集した動画です。(2021年8月8日公開)
こちらが上の動画に関するCNBCの特集記事です。内容は動画と一緒です。
この特集によると、ラスベガスでは国内のアグリゲーターとセラーが一堂に会する大きなイベントが行われているそうです。
Acqucoというアグリゲーターは、セラーを紹介してくれた人に、その後買収が成立すれば「テスラのモデルY」をプレゼントするというキャンペーンをしていたそうです。
それくらい、アグリゲーターは、めちゃくちゃホットで景気の良いビジネスのようです。
アグリゲーターの会社には、どんな会社があるの?
ここ数年で60社を超えるアマゾン・アグリゲーターが誕生し、多額の資金調達を行なっています。
Thrasio(セラシオ)やPerch(パーチ)という会社がトップのアグリゲーターで、Elevate Brands、Acquco、Moonshotなども急成長している会社です。
Thrasioは、2018年に創業したスタートアップで、アグリゲーター業界最大級の会社です。これまでに、17.5億ドルの資金調達を行なっており、125のブランドを参加にしています。(2021年8月現在)
例えば、フィットネス機器ブランド「Beast Gear」は、Thrasioが買収して成功した代表的な事例です。
同じくアグリゲーター業界最大級の会社であるPerchは2019年に創業しました。これまでに9億ドルの資金調達を行い、70以上のブランドを傘下にしています。(2021年8月現在)
日本のアグリゲーターとしては、「株式会社いつも」という会社があります。