【3分であらすじを紹介】『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』SF初心者が最初に読むべき最高傑作
前回のブログで、『一九八四年』について書きましたが、引き続き、オススメのSFを紹介します。
SFの中でも、最高傑作の1つと言われていて、映画「ブレードランナー」の原作でもある小説です。
エンタメ要素が多く娯楽性が高いため、SFの古典の中でも、かなり読みやすい本です。
難しい本はそんなに読みたく無いけど、SFに触れてみたい人にはオススメです。
「人間とは何か?」「人間とロボットの違いは何か?」を世界で最初に定義したとも言われる大ベストセラーです。
本書のあらすじ 人とアンドロイドの見分けがつかない世界
第3次世界大戦後、放射能灰で汚染された地球では、「生きている動物」を飼うことがステータスになっていました。
主人公のリック・デッカードは、動物を飼いたいと思っているのですが、「電気羊(機械仕掛けの羊のこと。ほぼ本物と見分けることができない)」しか所有していません。
どうしても「本物の動物」を手に入れたいと思っていますが、そのためには大金が必要です。
そこで、リックデッカードは、火星から逃亡してきたアンドロイド8人の首にかけられた莫大な懸賞金を狙います。
「自分が探し出して、狩る」と名乗りをあげるのです。
この世界のアンドロイドは高度に発達しています。
そのため、見た目で人間とアンドロイド区別することが不可能です。
アンドロイドは、人と同様な振る舞いをします。
「人か、アンドロイドか」を判別する方法が、たった一つだけだります。
それは、「フォークト=カンプフ感情移入度測定法」と呼ばれる他者への共感の程度を測定するテストです。
主人公のリック・デッカードは、このテストを使って、賞金首のかかったアンドロイドを追い詰めていきます。
人間をアンドロイドと疑ったり、女性型アンドロイドに惹かれたりと苦悩を抱えながら、物語は進んでいきます……
今のAIブームは50年前に予見されていた
ここ数年は、AIブームが続いていますね。
シンギュラリティという言葉をよく耳にするようになったり、
「AIが人間に対して反乱を起こすのではないか」といった恐怖が語られることがしばしばありますが、この小説の中では、すでにAIの反乱が描かれています。
えっ、この本は、1968年に発表されたSF小説ですよね?
ということは、
今から、50年以上も昔に、すでに
- 人間とAIの違いは、何か?
- AIは、感情を持つのか?
といったことを真剣に考え、AI社会を超具体的に描いていたという人がいたという事実に驚愕です。
現在に通じるAIへの根本的な問題提起は、すでに50年前になされていたわけです。
AIについて語りたい人は、間違いなく外せない1冊と言えるでしょう。
映画『ブレードランナー』との関係について
『ブレードランナー』は、本書を原作として作られました。
私は、映画も観ましたが、映画も100%おすすめできる傑作です。
映画は2つのバージョンが公開されています。
・1982年公開『ブレードランナー』(ハリソンフォード主演)
・2017年公開『ブレードランナー2049』(ライアン・ゴズリング主演)
1982年公開の『ブレードランナー』は、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』を映像化したものです。
2017年公開の『ブレードランナー2049』はその続編です。
最初の作品が2019年の世界を舞台としていて、『ブレードランナー2049』はさらに30年後の2049年を舞台としています。
ファイナルファンタジーや攻殻機動隊にも影響を与えた
映画『ブレードランナー』は、その後のSF作品に多大なる影響を与えました。
特に世界観が革新的で、多くのSF作品は、『ブレードランナー』の世界観を引きついでいます。
雨の降りしきる夜のビル群、貧富の差が広がっている“ダークな近未来”といったSF作品に共通するイメージです。
『AKIRA』や『攻殻機動隊』『ファイナルファンタジーVII』など、挙げればキリがありません。
どの作品も大都会がメインの舞台になっていますが、華やかな街ではなく、無機質で暗い背景がほとんどです。
希望に溢れた物語ではなく、むしろ“望まれない未来”が描かれているからこそ、その世界観が大きな魅力となっています。